こんにちは!
元・電装整備士の「むーちょ」です。
ダンプトラックの荷台作業にかかせない電動シート装置、通称「コボレーン」。
「コボレーン」は中播自動車工業の登録商標ですが、ダンプの自動シート全般を指す言葉として使用されています。
現場で積載物を運搬する際、ボタン一つでシートを開閉できる便利な装置ですが、いざ荷降ろしをしようとした時に「うんともすんとも言わない」「途中で止まってしまった」というトラブルは現場で非常によく発生します。
シートが開かないと荷降ろしができず、閉まらないと公道を走れないため、現場での作業ストップに直結する死活問題ですよね。
今回は、元電装整備士の視点から、コボレーンが動かなくなった際の「症状別の原因」と「現場でまず確認すべきチェック項目」をわかりやすく解説します!
🛑 1. 診断の第一歩:「電気系」か「機械系(メカ)」かの切り分け
コボレーンが動かない時、闇雲にパーツを叩いたり分解したりするのはNGです。まずは「スイッチを押した時にどんな音がするか・どんな挙動をするか」で、原因が電気(配線・モーター・スイッチ)にあるのか、機械(骨組み・ギヤ・噛み込み)にあるのかを切り分けます。
| 症状の挙動 | 疑われる主な原因 | 診断カテゴリ |
| 音もせず、ピクリとも動かない | ヒューズ切れ / 配線断線 / スイッチ不良 / 電源途絶 | 電気系 |
| 「ウーン」と唸り音はするが動かない | 骨組みの曲がり・引っかかり / ギヤの焼き付き・固着 | 機械系 |
| 途中まで動いて止まる / 動きが極端に遅い | 電圧低下 / モーター摩耗 / シート地の噛み込み / 可動部の油膜切れ | 複合(電気・機械) |
🔍 2. 症状別!原因と現場でのチェック項目
症状①:スイッチを押しても「全く無音」で動かない(電気系統トラブル)
スイッチを押してもモーターの作動音すらしない場合、電気の供給回路がどこかで断たれている可能性が高くなります。
- チェック項目1:ヒューズが切れていないか?
- 車両側(またはコボレーン専用)のヒューズボックスを確認します。過負荷やショートでヒューズが飛んでいると電源が一切入りません。
- チェック項目2:キャビン内スイッチやリレーの不良
- 長年の使用により、スイッチの内部接点が焼損(接触不良)しているケースがあります。スイッチ裏のコネクター抜けや緩みも確認しましょう。
- チェック項目3:キャビンと荷台をつなぐ「可動部配線」の断線
- ダンプアップの動作により、配線は常に引っ張られたり屈曲したりしています。シャシーから荷台へ渡る配線の「被覆破れ」「断線」「カプラーの抜け」を目視チェックします。
症状②:モーター音(唸り音)はするのに動かない(機械系・過負荷)
「ウーン」「カチッ」とモーターが頑張っている音が聞こえる場合は、電気は届いているものの、それ以上の負荷がかかって回転できない状態です。
- チェック項目1:シート生地や異物の「噛み込み」
- 骨組みやアームの関節部分に、シート地・ロープ・飛び散った砂利などが挟まってロックしていないか確認します。
- チェック項目2:アーム(骨組み)の曲がり・変形
- 現場での接触や過積載・偏荷重などでアームが歪んでいると、可動軸に強い摩擦がかかり、モーターの力では回らなくなります。
- チェック項目3:減速ギヤ(減速機)の固着・破損
- モーター直結の減速ギヤボックス内部でグリス切れやギア欠けが起き、内部でロックしている場合があります。
症状③:動きが重い・片側だけ上がらない・途中で止まる
- チェック項目1:バッテリー電圧の低下
- エンジンをかけずにバッテリーだけで何度も動かしていると、電圧不足でトルクが出なくなります。必ず「エンジンをかけた状態」で動作確認を試しましょう。
- チェック項目2:アーム左右の「同期ズレ」やリンクの渋み
- 左右をワイヤーやパイプで連結しているタイプの場合、片側の固定ボルトが緩んで同期がズレていたり、可動部のオイル切れ(潤滑不足)で負荷が増大している可能性があります。
- チェック項目3:モーター内部(ブラシ)の摩耗・寿命
- 長年使用したモーターは、内部のカーボンブラシが限界まで摩耗し、十分なトルク(回転力)が出なくなります。
🛠️ 3. 現場で動かなくなった時の応急処置と注意点
現場で荷降ろしをする直前にコボレーンが動かなくなってしまった場合、以下の応急手順を試してみてください。
- 手動解除(手動格納)の確認
- 多くの電動コボレーンには、非常時に手動でアームを動かせるピンや手動切り替えボルト(クラッチ解除)が備わっています。取扱説明書やモーター側面の構造を確認し、手動でシートを開閉・固定して避難しましょう。
- 無理にスイッチを押し続けない!
- 挟み込みなどで動かない状態のままスイッチを長押しし続けると、モーターが焼き付いたり、配線が発熱して火災・ヒューズ爆殺の原因になります。「唸って動かない」時はすぐにスイッチを離してください。
- 可動部への定期的なグリスアップ
- 故障を防ぐ一番の予防策は、定期メンテナンスです。アームの可動軸やリンケージ部分にスプレーグリスを吹き付けるだけでも、負荷が激減して寿命が大幅に延びます。
まとめ:原因を正しく見極めて安全に対処しよう
コボレーンが動かなくなった時は、焦らずに以下の順番でチェックしましょう。
- 音がするかしないかで「電気系」か「機械系」かを見極める
- 無音なら「ヒューズ」「配線の擦れ・断線」「スイッチ」をチェック
- 音がするなら「異物の挟み込み」「骨組みの曲がり」「潤滑不足」をチェック
電気系のトラブルであれば、配線補修やスイッチ・ヒューズ交換でDIY復旧できるケースも多いですが、無理な連続操作は二次災害のもとです。構造と仕組みを理解して、安全にトラブルを解決してくださいね!


